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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんぱん ほうろうき

新版 放浪記

林 芙美子

Lesen Sie 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.330 Zeichen · 497 Bildschirme

Aozora Bunko

「大した仕事じゃないじゃないか。」と云う、その私の大した事でもない仕事に、私はいまなお拘泥して生きているのです。何も大道の真中を行くのばかりが小説でもないと思っている。片隅の小道を通るような、私なりに小さくつつましいものが書きたいと思います。

どうも、私はこの頃恐怖症にかかっているのかも知れない。人がみなおそろしく思える。訪ねてくれる人より外、私は私の方からは誰も訪ねて行かない。夢をみてもおそろしい。現でいても時に後に誰か立っているような錯覚をおこしている。大きな心でいたわりあってくれるものと云えば、もう犬ぐらいのものです。月夜、石の段々に腰をかけていると、犬だけが、私によりそって来ている。私の手からはもう何もなくなってしまいました。本当は月夜の自分の影さえもなつかしいのだけれど……。私の頭の中はいま真空だ。危急なものが流れこんで来そうに思える。その危急なものをまとめてみたいと日夜考えているのだけれども、その正体をつかむまでに至らない。ここまで書いて来て、何度となくこの様なぶちまけを書く事に私は嫌悪をもよおして来たのだけれど……。まアいいとしましょう。