Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんぱん ほうろうき

新版 放浪記

林 芙美子

Lesen Sie 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.330 Zeichen · 497 Bildschirme

Aozora Bunko

苦学生にしてはいやに清潔だ。西片町に出る。そろそろ暑い陽がのぼりはじめてきた。運送屋さんの前の共同水道で、顔を洗って、ついでに水をがぶがぶと飲んで満腹のほうえつ。ついでに、髪にも水をつけて手でなでつける。根津へ戻って恭次郎さんの家へ行ってみようかとも思うけれど、節ちゃんにまた泣きごとを云いそうなのでやめる。朝の新鮮な空気の中を只むしょうに歩く。大学の前へ行ってみる。果物屋ではリンゴにみがきをかけている男がいる。何年にも口にしたことのないリンゴの幻影が、現実ではぴかぴかと紅くまるい。柿も、ぶどうも、いちじくも、翠滴がしたたりそうな匂い。――さいやんかね、だっさ、さいやんかねえ、おんだぶってぶって、おんだ、らったんだりらああおお……タゴールの詩だそうだけれど、意味も判らずに、折にふれては私はつまらない時に唄う。

高橋新吉はいい詩人だな。

岡本潤も素敵にいい詩人だな。

壺井繁治が黒いルパシカ姿で、うなぎの寝床のような下宿住い、これも善良ムヒな詩人。蜂みたいなだんだらジャケツを着た萩原恭次郎はフランス風の情熱の詩人。そしてみんなムルイに貧しいのは、私と御同様……。