Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
Lesen Sie 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.330 Zeichen · 497 Bildschirme
卑劣な生きかたとは違うらしい。さしずめ、私達はさんりんぼうの続きをやっていると云うものだろう。毎日、心の中で助けてくれッ、助けてようと唄のように唸ってばかりいる。電気ブランを飲んでるような唸りかたなり。
「お爺さん、玉の井って知ってる?」
「ああ知ってるよ」
「前借さしてくれるかしら?」
「ああ、それゃアさしてくれるねえ」
「私のようなものにもさしてくれるかしら?」
「ああ、さしてくれるとも……お前さん行く気かい?」
「行ってもいいと思ってるのよ。死ぬよりはましだもン」
爺さんは両手で禿げた頭を抱えこむようにさすりながら黙っていた。
(一月×日)
からりとした上天気。眼もくらむような光った雪景色。四十年配のいちょうがえしの女が、寝床に坐ってバットを美味しそうに吸っている。敷布もない木綿の敷蒲団が垢光に光っている。新聞紙を張った壁。飴色の坊主畳。天井はしみだらけ。樋を流れる雪解け。じいっと耳を澄ましていると、ととん、とんとん、ととんと初午のたいこのような雪解けの音がしている。皆は起き出してそれぞれ旅人の身づくろい。私は窓を開けて屋根の雪をつかんで顔を洗った。レートクリームをつけて、水紅を頬へ日の丸のようになすりつける。