Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんぱん ほうろうき

新版 放浪記

林 芙美子

Lesen Sie 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.330 Zeichen · 497 Bildschirme

Aozora Bunko

たまには乞食も通る。神様らしきものは通らない。そのくせ、昼食時のサラリーマンの散歩姿は、みんな妻楊枝を咥えて歩いている。ズボンのポケットに一寸手をつっこんで、カンカン帽子をあみだにかぶり、妻楊枝をガムのように噛んでいる。

私は天幕の中で色々な空想をする。卓子のひき出しの中には、ギザギザの大きい五十銭銀貨が溜ってゆく。これを持って逃げ出したらどんな罪になるのだろう……。広告主はみんな受取を持って来るから、広告がいつまでたっても出ないとなれば呶鳴りこんで来るかもしれない。これだけの金があれば、どんな旅行だって出来る。外国にだって行けるかも知れない。これだけの金を持って何処かへ行く汽車に乗る。そして、それが罪になって、手をしばられてカンゴクへ行く。空想をしていると、頭がぼおっとして来る。この半分を母へ送ってやれば、どんないいひとがみつかったのかと田舎では驚くかもしれない。あのひと達を二人そろって呼びよせる事も出来る。

理想的な同人雑誌を出す事も出来るし、自費出版で美しい詩集を出す事も出来る。卓子の鍵をじいっとみつめていると、心がわくわくして来る。ひき出しをあけて金を数える。