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Japanische Klassiker mit Furigana

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めいじびじんでん

新編 近代美人伝 (上)

長谷川 時雨

Lesen Sie 新編 近代美人伝 (上) (めいじびじんでん) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.076 Zeichen · 256 Bildschirme

Aozora Bunko

ませんか。これからこそ、気楽にして暮したいと思うのに、なんだかんだと煩さい事を聞くのも、それもお金があるからだと、つくづくほしくなくなっちゃったんです。もともとあたしのものなのだから井上の御前にあげましょうって言うだけなのですわ」

「そう言われればそうだけれど、あたいは困っちゃったね」

困っちゃったと口にはいっても、言われないとこまでも女将の胸には梁みたのであろう。なぜならば、わたしは或折この女将の洩した歎息と、述懐を聞いたことがある。

「あたしはありとある愁い経験をもっていて、いろいろな涙の味を知りつくしている。だから、どんな芝居を見ても面白い、感動する。なぜならそのどれにも共鳴するものを噛みつくしているからだ」

といったようなことであった。あの根上りの飛上った小さな丸髷が、あの人の一面を代表しているようには見えたが、あの髷の下にも、真実はかたまって残っていたのである。彼女もまた動いてしまった。

八

そんなこんなで麻布を引払い、大井の方へ移った。大井の里の家は、かなり手広なのと、すこしはなれて、梅や桃を多く植廻した小家との一軒をもっていた。