Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

めいじびじんでん

新編 近代美人伝 (上)

長谷川 時雨

Lesen Sie 新編 近代美人伝 (上) (めいじびじんでん) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.076 Zeichen · 256 Bildschirme

Aozora Bunko

といわれたときに、

「今にほんとに真面目になって見せますよ」

と答えた。もうその時分から死ぬことについて考えていたのかもしれなかった。カルメンの唄う調子が低くって音楽にあわなかったというが、その心地をぽっちりも洩らすような友人のなかったのが哀れでならない。

後からきけば種々と、平常に変ったことが多くあったのである。抱月氏でなくとも、彼女を愛する肉親か、女友達があったならその素振りを見逃がさなかったであろう。何か異状のあることと気をつけていたに違いない。彼女は写真を撮るまえに泣いたばかりでなく、ひとり淋しく廊下に佇んで床を見詰めていたばかりでなく、その日は口数も多くきかなかった。夕食に楽屋一同へ天丼の使いものがあったが、須磨子の好きな物なのにほしくないからとて手をつけなかった。帰宅してからも食事をとらなかった。夜更けてかえると冷るので牛肉を半斤ばかり煮て食べるのが仕来りになっていた。それさえ口にしなかった。十二時すぎになると、抱月氏を祭った仏壇のまえでひそひそと泣いていたが、それは抱月氏の永眠後毎日のことで、遺書は四時ごろに認ためられた。

最後の日の朝、洗面所を見詰めて物思いにふけっていたというが、生前抱月氏は手細工の好きな人で、一、二枚の板ぎれをもてば何かしら大工仕事をはじめて得意でいた。