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Japanische Klassiker mit Furigana

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めいじびじんでん

新編 近代美人伝 (上)

長谷川 時雨

Lesen Sie 新編 近代美人伝 (上) (めいじびじんでん) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.076 Zeichen · 256 Bildschirme

Aozora Bunko

床を背にして、久佐賀某は机の前に大きな火鉢を引寄せ、しとねを敷いていて彼女を引見したのであった。

「申歳の生れの廿三、運を一時に試し相場をしたく思えど、貧者一銭の余裕もなく、我力にてはなしがたく、思いつきたるまま先生の教えをうけたくて」

と彼女は漸くに口を切った。それに答えた顕真術の先生は、

「実に上々のお生れだが金銭の福はない。他の福禄が十分にあるお人だ。勝れたところをあげれば、才もあり智もあり、物に巧あり、悟道の縁しもある。ただ惜むところは望が大きすぎて破れるかたちが見える。天稟にうけえた一種の福を持つ人であるから、商いをするときいただけでも不用なことだと思うに、相場の勝負を争うことなどは遮ってお止めする。貴女はあらゆる望みを胸中より退いて、終生の願いを安心立命しなければいけない。それこそ貴女が天から受けた本質なのだから」

と言った。彼女は表面慎しやかにしていても、心の底ではそれを聴いてフフンと笑ったのであろう。

「安心立命ということは出来そうもありません。望みが大に過ぎて破れるとは、何をさしておっしゃるのでしょう。老たる母に朝夕のはかなさを見せなければならないゆえ、一身を贄にして一時の運をこそ願え、私が一生は破ぶれて、道ばたの乞食になるのこそ終生の願いなのです。