Japanische Klassiker mit Furigana
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いちかわくめはち
新編 近代美人伝 (下)
長谷川 時雨
Lesen Sie 新編 近代美人伝 (下) (いちかわくめはち) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 138.172 Zeichen · 277 Bildschirme
「共通なところがあるのでしょ。」
と私は言った。それは、たしかに、二女に共通したものがあるのだったが、鼓村師には解せなかった。安坐の上に乗せた箏に、柱をたてながら、
「その小いっこい女は、几帳面で几帳面で、譜をとるのに、これっぽっちの間違いもない。ありゃどうしたことじゃろうかね。箏の音はまた、それとは違うて、渺々としておるので――真の、玉琴というのはああした音色と、余韻とでなければ――」
だが、その玉琴の名手が、なんとしたことか、正午というと、何処でもお弁当を食べだすと、溜息のように、
「それがなあ、汽車のなかででもで――汽車じゃというたところが四十分そこそこの横浜と東京の間で、それも買って食べるのではないのだから、ちゃんと、弁当箱を出すのだからわしの方が恥かしくって、顔見られるようで愁かったが、すまあしてやっとる。見とるとわしも腹が空くが、横浜までは何も売ってはおらんので――」
鼓村師は、大きな口と、小さな眼で笑った。
そう言ううちに膝の上で、箏の調子はあっていた。大きな、厚い、角爪が指に嵌められると、身づくろいして首が下げられた。
私も、ずっと離れて、聴くにほどよい席につき、お辞儀をすると、膝の上に手を重ねた。