Japanische Klassiker mit Furigana
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いちかわくめはち
新編 近代美人伝 (下)
長谷川 時雨
Lesen Sie 新編 近代美人伝 (下) (いちかわくめはち) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 138.172 Zeichen · 277 Bildschirme
なんでも浜子さんが十五、六の時分ではなかったのでしょうか、錚々たる歌人たちを歌会を開いて招いたときの話で、佐佐木先生も招ばれていったが、どうも、その婦人は、年をとった偉い人なのだろうと出かけてゆくと、立派な家で、集まっている人たちも、浜子刀自とは、どんな人かとみんなが堅くなっていると、現われたのは、紫の振袖を着て竪矢の字に結んだ、小っこい小娘だったので、唖然としてしまったが、その態度は落ちつきはらっていたと――」
あははと、笑いだした鼓村さんは、突然、
「あれ、あれ。」
と、わたしに指差して教えた。家のものたちが、土手のはずれの方へいって、ワイワイ騒いでいるのだった。老父も座敷の前の庭を横ぎっていった。
「どうしたのですか?」
鼓村さんは立っていって、挨拶をしながら聴いた。
「いや、家鴨が河へ出て、沖の方へゆくそうで――」
「やあ、じいやさんが船を出した。」
と、言いながら、鼓村さんは庭下駄をつッかけて、老父のあとへ附いていった。
椽へ立って見ると、どうやら、河口へ出た家鴨を、通りがかりの小舟が、網を投げかけたので、驚ろいて橋の下を越して、沖へ出ていったものらしかった。