Japanische Klassiker mit Furigana
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いちかわくめはち
新編 近代美人伝 (下)
長谷川 時雨
Lesen Sie 新編 近代美人伝 (下) (いちかわくめはち) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 138.172 Zeichen · 277 Bildschirme
白い大きな鳥が、青い潮にういているのがくっきりと見えている。対岸の商船学校から、オールを揃えて短艇を漕ぎ出してくるのが、家鴨とは反対に隅田川の上流の方へむかって辷るように行く。ベカ舟に乗って、コイコイコイコイと、家鴨を呼んでいるじいやに、土手の上で、危いから帰って来いと呼んでいるのを、橋の上の人が、大声で伝えているものも見える。
庭へおりて見ると、小篠の芽が、芝にまじって、健やかな青さで出ていた。そのかげを赤い小蟹が、横走りに駈けたり、鋏で草を摘んで食べている。
浜子さんの噂をあんまりしたが、あれで、鼓村さんに浜子という人の並々でない気性がわかってもらえたかしらと、かいなでの弟子と見てもらいたくない気で、よけいなおしゃべりをしたのが、軽い憂鬱でもあった。
彼女の家は、横浜の、太田初音町の高台にあって、彼女の書斎の二階からも、下の広間の椽側からも、関内のいらかを越して、海が遠くまで見えるのを思ったりしながら、わたしは、蟹を下駄のさきでおどろかしていた。
二
新富町の新富座の芝居茶屋に――と、いっても、震災後の今日では、何処のことか解りようがない。