Japanische Klassiker mit Furigana
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いちかわくめはち
新編 近代美人伝 (下)
長谷川 時雨
Lesen Sie 新編 近代美人伝 (下) (いちかわくめはち) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 138.172 Zeichen · 277 Bildschirme
何かの好みが、紅葉とは違っていた。
それは、紅葉は町の子であって、美妙は神田ッ子でも、警部さんの息子で、家庭が、京阪でいうモッサリしていたからでもあろうが、大学予備門にいた、十九歳ごろから、小説で売出してからでも、長靴好きでよく穿いていたということだ。
だがまた、それは、明治の初期から二十年ころまではそうしたふうがハイカラだったのだ。ハイカラ――高襟は、もっと、ずっと後日で生れた言葉だが、言い現すのに都合が好いから借用する。芝居の、黙阿弥もので見てもわかるが、房っさりした散髪を一握り額にこぼして、シャツを着て長靴を穿いているのが、文明開化人だ。しかも、金巾のポッサリした兵児帯を締て、ダラリと尻へ垂らしている。これも後には、白か紫の唐縮緬になり、哀れなほど腰の弱い安縮緬や、羽二重絞りの猫じゃらしになったが、どんな本絞りの鹿の子でも、ぐいと締る下町ッ子とは、何処か肌合が違っている。しかし、絞りをしめだしたのもずっとあとだ。
とはいえ、年少にて名をなした、美妙斎の額は、叡智に輝いていた。
ことに、その時分は、紅葉、眉山、思案、九華と、硯友社創立時の友達たちを向うに廻して、金は這入るが、「蝴蝶」