Japanische Klassiker mit Furigana
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いちかわくめはち
新編 近代美人伝 (下)
長谷川 時雨
Lesen Sie 新編 近代美人伝 (下) (いちかわくめはち) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 138.172 Zeichen · 277 Bildschirme
」
こともなげに言いはしたが、錦子の血がサッと逆流するのを意地わるくはかるように、
「なにを妙な顔をしてんのさ。そんな女、今ごろいるもんかね。みんな追っぱらっちゃった。」
バタバタそこらの書籍を引っぱり出して抛り出しながら、
「あ、こんないたずら書きがしてある。見たまえ。」
眼をよせて考えこんでしまっている錦子の手をグイと引っぱって差しつけたのは、
労役を恥ぬを妻とする。芸妓前髪を気にする。と二行にならべて書いてある美妙の落書したものだった。
間もなく、小石川久堅町に越すと、美妙が浅草公園の女を騙したという風説がやかましくなった。長い間だましていて、二千円からの金を奪ったというような悪評がたったのだった。
赤い紙の、四頁だった『万朝報』は大変売れる新聞だった。そこの記事にそうしたことが載っていたのを、美妙が反駁した。
妖艶の巣窟の浅草公園で、ことに腕前の凄いといわれたおとめのことは、種にしようと思ったから近づいたのだ。三五年の研究で、人事千百がわかったから、久し振りで書こうとおもっていたところだ。そこへ新聞記事になって紹介されたのは、好い前触れ太鼓だから、責めもしない、怒りもしない。