Japanische Klassiker mit Furigana
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いちかわくめはち
新編 近代美人伝 (下)
長谷川 時雨
Lesen Sie 新編 近代美人伝 (下) (いちかわくめはち) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 138.172 Zeichen · 277 Bildschirme
これはだいぶ歌集『踏絵』に魅せられていた。
たしかに、わたしは『踏絵』のうたと序文によっぱらいすぎてはいたが、昔ならば、女御、后がねとよばれるきわの女性が、つくし人にさらわれて、遠いあなたの空から、都をしのび、いまは哲学めいた読ものを好むとあれば、わたしの儚んだロマンスは上々のもので、かえって実在の人を見て、いますこしうちしめりておわし候え、と願ったのもよんどころない。それほどに『踏絵』一巻は人の心をとらえた。
われは此処に神はいづくにましますや星のまたたき寂しき夜なり
われといふ小さきものを天地の中に生みける不可思議おもふ
踏絵もてためさるる日の来しごとも歌反故いだき立てる火の前
吾は知る強き百千の恋ゆゑに百千の敵は嬉しきものと
天地の一大事なりわが胸の秘密の扉誰か開きぬ
わが魂は吾に背きて面見せず昨日も今日も寂しき日かな
骨肉は父と母とにまかせ来ぬわが魂よ誰れにかへさむ
追憶の帳のかげにまぼろしの人ふと入れて今日もながむる
船ゆけば一筋白き道のあり吾には続く悲しびのあと
誰か似る鳴けようたへとあやさるる緋房の籠の美しき鳥
歌集のようになるが、もう二、三首ひきたい。