Japanische Klassiker mit Furigana
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いちかわくめはち
新編 近代美人伝 (下)
長谷川 時雨
Lesen Sie 新編 近代美人伝 (下) (いちかわくめはち) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 138.172 Zeichen · 277 Bildschirme
そうしたら泡鳴も満足し、自分の淋しさも消えるかもしれない。」
自分を没くなすことは、もっと大きな自分をつくるために必要かもしれないと、彼女は自分に言いきかせた。そして、それをするならば、それは今日だ、この覚悟が崩れないうちにと思った。
打明けるには、快い顔をしていたかった。気分を軽くするために、晴れた日の下に出た。お友達の家で闘球をして遊んで、夕ぐれになって帰るとき、これならば、心から笑って話せると思った。新しい恋人の心持ちで話しあおうと急いだ。はずみきって玄関から上りながら、旦那さまおうちときいたら、婆やは、お出かけですと答えた。
清子の勢いこんだ覚悟は挫けてしまった。
泡鳴氏も苛々して酒ばかり飲んだ。そして、
「私は不幸な男だ。あなたも不幸だ。その上、貧乏はする。さぞ詰らないだろう。」
とつくづく言った。精神的にも、物質的にも、なんとか打破しなければいけない。それには、生活をすっかり改えるのに、限ると思ったためかどうか、『大阪新報』に入社することになった。後から清子も行くことになる前に、音楽家の北村氏夫妻が、新劇団体をつくるのに、女優にならないかと勧められて、清子の心は動いた。