Japanische Klassiker mit Furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
僕の方はこのごろ困ったことが起って来た。君も知っているだろうが、ウィーンへ行った真紀子さんが突然僕を頼ってひとりパリへ現われたのだ。僕は真紀子さんの置き所に苦しんだ揚句、同じここのホテルにいるより君のホテルの方が良いと思い、留守中を幸い君の部屋を失礼させて貰っている。真紀子さんは御主人にハンガリヤ人の夫人のあったことが分ったとかで、夫婦分れをして飛び出て来たとのことである。考えれば僕は今年は厄年だ。それからバンテオン座に、『われらの若かりしころ』というロシア映画が現れた。これは素晴らしい。われわれはまだ若いのだ。僕も君もこの若さを充分意義あらしめよう。
僕にもいろいろの困難はあるが、何と云ってもパリは良いところだとつくづく思う。僕は実際どこへも旅行する気持ちはあまりなくなって来た。それから終りに、突然で失礼だが、君はどうして千鶴子さんと結婚する気持ちがないのか。君との約束のように僕もチロルへ行くつもりでいたのだが、千鶴子さんと君との間を疎遠にしては悪いと思い遠慮することにした。多分君のことだから、千鶴子さんが君の後を追ってそちらへ行っても、依然として前と同じことだろうと思う。