Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

一人でああかな、こうかなと思ってみているだけで、一番馬鹿を見るのはどうも僕のような気がするんですよ。え、どうなんです、いったい?」

「あたしも分んないわ。そんなこと。」

と千鶴子は張りのない小さな声で云うとかすかに笑った。心の底に低迷している愛情のほッと洩れこぼれたようなその千鶴子の微笑を、久慈はなかなか美しい表情だと思った。

「しかし君、どっちも好意をそんなに持ち合っているくせに、どっちも隠しているというのは無意味だと思うね。それともまだそんな風に物静かにしている方が楽しみが多いというのならこれや別だが、そういう風流なお二人とも見えないや。」

千鶴子は椅子の背に腕を廻し振り返ると、

「何んだかお一人で騒いでいらっしゃるのね、面白い方だわ、あなた。」と久慈を薄眼で見上げて笑った。

「とにかく君たちは、僕とは恐ろしく趣味の反対な人たちだよ、古典派というのかね。お行儀はいいよ。」

窓の外へ乗り出すように欄干の鉄の蔓を掴んで久慈は下の通りを覗いた。太い足の爪の附け根に毛の生えた白い馬が車を曳いて通る。竿のような長いパンを数本小脇にかかえた女が、片側に二列ずつ並んだ街路樹の青葉の間を縫って歩いてゆく。