Japanische Klassiker mit Furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
「裸身になれ、裸身に。」
東京にいるときでも友人たちは矢代によくこう云って迫り、叱り、忠告し、果ては嘲笑さえしたものであったが、今も矢代はその声声が聞えて来て、広場の樹樹もみなにたにたとした嘲笑の顔にも見えて来る。しかし、もし本当に裸身になって見よ。そんなことが出来るわけのものじゃあるまいと矢代は思う。
「みんなの奴、嘘をついてるから、裸身になって見せてるだけさ。あのえへえへ喜び勇んだ醜行のどこが裸身だ。人の眼をくらますために醜行を演じるなら、そんなことは俺だって。――」
とまた思う。
顔からそれていった噴水が反対の森のうえに砕け散って霧を立てていた。その霧を自動車の車輪が巻き込んで逃げてゆく。矢代は樹の間を遠ざかって消える車を眼で追いつつ、
「とにかく、俺という男は自分というものがやはり一番好きでまた嫌いなのだ。あの自分の馬鹿さ加減一つ知らずに、ここにこうして坐っていたアルマンが羨ましい。――」と矢代は思って、
「ボアへ行きましょうか。あそこなら、何か手ごろな食べるものがあるでしょう。」
矢代はベンチから立って凱旋門の向うにあるブロウニュの森の方へ歩いた。