Japanische Klassiker mit Furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
樹影の色で青白んで見える客の中には居眠っている顔も見えた。遠方の樹の間で閃めくコンパクトの面に眼を刺されつつ、矢代は湖の中の島を眺めて云った。
「いつかの夜、あの島の中で道に迷ったときは弱りましたね。」
「そうそ、でも、あのときあなた嚇かすからあたし、恐くなったんですのよ。ここは一名魔の森っていうんだって仰言ったでしょう。覚えてらして?」
「そんなこと云ったかしら。しかし、このあたりの夜の森じゃ、何をされたって罪は向うにないのですからね。夜になると自動車が八方からこの森へ這入って来るのだって、何も罪はこっち持ちだ、という権幕なんだから、あれはまア、自然を失った人間というものは、一切から解放されればどんな様子をするものか、試しに周囲五里の森を与えてあるようなものだな。実際この森がなかったら、パリの人間、呼吸困難になるかもしれないですよ。」
「恐ろしいところね。そんなところ日本になくて結構だったわ。」
ボーイの持ち運ぶ皿がまた光って眼を刺した。オーケストラが樹の下から起った。湖面に漣が立ってゆらめく度びに、照り返しを受けたあたりの芝生の面もともに影を細かく揺らめかせた。