Japanische Klassiker mit Furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
定めし真紀子と一緒に今ごろは、こんなにコーヒーを探し求めて歩いていることだろうと云って、千鶴子と彼は笑い合った。
ロワイヤルを出てからすぐ裏の森の中へ二人は這入っていった。鶯や小鳥の声がだんだん増して来た。栗や櫟の樹の密生した中を道からそれて、枝を撓めたり蔓草を踏み跨いだりしながら、なるだけ人声の聞えぬ方へ歩いた。この森の木の葉は初毛のように細かく柔いので、どこまで行っても森の中は明るかった。雑草も芝生の延びたのが多く、それも踏み馴らされた人擦れのした草ばかりだった。
「まったくここは森まで人工だから、僕らこれでどこまで胡魔化されてるか、もう分らないな。こんなになると日本へ帰ってから、日本がつまらなく見えて困るぞこれや。」
ぼそぼそ独言をいうように呟きつつ歩く矢代の前へ、鳥の糞が落ちて来た。しかし、千鶴子は、森の人工であろうが自然であろうが少しも意に介しない様子で、ときどき男女の一組が草の中に横わっていても、その傍を快活に除けて歩いた。森の中には自動車道が縦横についていた。千鶴子は樹の間から道が少しでも見え始めると、すぐまた自動車の音のしない反対の奥の方へ自分から進んだ。