Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

――女のものはやはりここでなければありませんのね。」

「もう帰る話か。うらやましいな。」

と久慈は云ったが、一向に羨望した様子にも見えなかった。

「でも、これでもあたし長くなりすぎた方なの。ほんの一寸と思って出て来たのにもう幾月になるかしら。ロンドンの兄からしきりに手紙が来るの。早く来なければ置いてきぼりにして帰ってしまうぞって、そんなに云って来てるんですのよ。あたし、もう少しいたいのだけれど。」

千鶴子は荷物を取り上げ、詰って来た客に椅子をあけて真紀子に向い、

「あなたはまだお帰りにはなれないでしょうね。なかなか?」

軽く訊ねたつもりらしいのも、それがそのままとならず波紋を強く真紀子に与えたらしかった。真紀子は、「ええ。」と言葉を濁して暫く黙っていてから、

「でも、帰ろうと思えば、いつでもあたしはいいんですのよ。別にこれって邪魔は、もうないんですの。」

むしろ千鶴子によりも久慈に答えるらしい含みでそんなに真紀子の云うのを、久慈はにやにや笑いながら聞いていた。

女人のことは君に任すと云いたげな矢代は、昨夜の真紀子と久慈との出来事も知っているのか知らぬのか、さも気附かぬらしい様子で煙草を吹かせていた。