Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

このまま二人が事実の結婚をするということは、何か不自然なことを別にするようにさえ思われる穏やかな気持ちだった。

「毎日何をしてらっしゃる。このごろ?」

「このごろあたし、ぼんやりしてるだけなの、何んだかしら、気が遠くなったみたいよ。あたしも塩野さんみたいになるんじゃないかしら。」

「一種のみそぎをしている時期だからな。僕らは――塩野君の入院でもどうも僕には、そんな風に考えられる。」

「じゃ、あなたはまだなの?」と千鶴子は顔を一寸赧らめて訊ねた。

「僕は東北でもうすませた。」

こんなことを話しているときでも矢代は、夫婦が話しているというような気持ちではなく、特にもう交際する要もなくなった、一番親しい友人同志に似た、和らぎを感じたが、しかし、これでいよいよもし結婚するようなことにでもなったら、細川忠興がガラシヤに詰めよったように、自分も千鶴子にカソリックだけはやめてくれと迫るのかもしれないと思われた。ただ今のような友人同志であってみれば、そんなことで詰めよる権利もなし、またその必要もないだけだった。しかし、どういうことともなく、二人の間でみそぎなどという言葉を使う場合に、一方がカソリックだと、相手の文化性を自認している心に羞恥心を抱かせる気具合を感じ、それに気づいても拭き消しもならぬ妙な気苦労を覚えて影が生じた。