Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
「いやまだだが何んだ。」
と訊き返すと、蒋介石が西安で誘拐されたまま生死不明になったということだった。事件は中国のこととはいえ、矢代は身に直接吹きつけて来た突風を覚え、これはいつかは自分の運命に影響して来る何事かだと思ってひやりとした。
矢代が千鶴子へ病気見舞いの手紙を出してから一週間ほどたって返事が来た。病気は塩野と似ていてやはり原因が分らず、ただ高熱と眠けに襲われつづけただけで、無事恢復したということや睡眠中に矢代の名を口走ったこともあったらしく、後で兄の由吉から揶揄われて困ったことなど書いてあった。
矢代はそれで先ずひと安心だった。そして、すぐ自分の調べ物もかね、知人の小屋のある上越の山へひとり出かけた。彼の知りたかったのは、一番彼の不案内な宗教と科学の歴史に関する方のことだったので、荷物はその準備の書物で重くなった。
山にはもう雪が深かった。駅に着いたのは夜で風が谷の底で鳴っていた。宿まで行くのに橇に乗らねばならず、前後に一人ずつ従いた狭い橇箱の中で、幌の破れ目から吹き込む風にときどき矢代は顔を背けた。崖から雪崩れ落ちる雪の音の聞える路が長く、揺れ動く敷板の固さに腰骨が痛んだ。