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Japanische Klassiker mit Furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

今となっては、たとい二人の間を妨げるものがあるとしても、やむにやまれず押し切って後悔せぬ張力に変るかも知れぬものだった。

しかし、自分はまたそれをも喰いとめてしまうことだろう、と矢代は思った。もうそれは彼の慎しみでもなければ、羞しさでもなかった。それはどういうものか別に理由のないことで、強いて云えば、それは人にただ守られるだけの努力でやっと伝わってゆく儚ない礼儀のようなものかと思われた。矢代はこんなに自分の心を自由に用いることも、見ることもともに封じているのも、やはり何んとなく、昔から人人の担いで来た分らぬ重い御輿を自分も担いで見たかったからである。

千鶴子は珍しく宿着を抜き襟ぎみに湯から上って来て、タオルをかけ、

「いいお湯でしたわ。お入りになりません。」

と矢代に奨め鏡台の傍で化粧をした。

艶のある爪が軽く頬の上で揺れるのを眺めながら、彼は千鶴子の和服姿を見るのも初めてだと思った。

「早く入ると僕は湯ざめのするたちでね。しかし、ここの湯は良いでしょう。殊に朝がいいんだが。」

「でも、お豪いわ。自炊をつづけてらっしゃるの、お風呂の中でさきも、槙さんとお話してましたのよ。