Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

云えないがってそう仰言ったわ。藤田嗣治さんの絵を見てるときでしたの。やっぱりそうよ。あの方だって。」

「藤田嗣治はパリへ来てみると初めて豪いもんだと思いますね。よくあれだけこの都をひっ掻き廻したものだと思う。」

「女の人の線が牡丹の花びらのように見える絵よ。それがね、それが面白いんですのよ。」

千鶴子はこう云いかけてから急に顔を赤らめて俯向くと、

「あら、雀がこんな所まで来たわ。可愛いこと。御覧なさいよ。」

と矢代の腕を軽く打った。矢代は雀を見ていてから鉄のベンチの冷たさにふと背を延ばした。すると、その向うのベンチでさきから男女の二人が静かにじっと顔を併せているのが見えた。このような情態は矢代はいつもここで眼にすることであったから別に特異な風景とも思わなかったが、しかし、こちらの眼を雀に向けようと努める千鶴子の気持ちを感じ、音響の停った窮屈な世界でぴょんぴょん跳ね廻るその雀が、次第に大きく見えて来るのだった。

「雀ってどうしてこんなに沢山いるんでしょう。どこにでもいるものね。」

千鶴子はくるりと男女の方に背を向けたが、こちらには矢代がいるとまた真直ぐに向き直って雀の行方を眼で追った。