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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぎじんのすがた

日本の怪談

田中 貢太郎

Lesen Sie 日本の怪談 (ぎじんのすがた) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 56.030 Zeichen · 115 Bildschirme

Aozora Bunko

横山がその検使であった。

横山は一人の下役を従えて吉平の家へ往った。吉平は表座敷の塵を払うて自殺の用意をして待っていた。

「いろいろ御厄介をかけてあいすみません、では後のところをよろしくお願い申します」

吉平は白装束になって、前の三宝に載せた短刀を執りあげた。

「刃合を見よう」

こう云って右の太股へその短刀を突き刺した。血がその傷口に湧いた。

「よく切れます」

彼はその短刀を抜いて、横山の顔を見て微笑した。そして、腹に突立てて見事に十文字に切って倒れた。横山には介錯の必要がなかった。

義人はこうして短い一生を終った。

その翌日のことであった。正午近くなって横山源兵衛の玄関前へ吉平の姿が現れた。

「私は昨日、御苦労を相かけた浜田吉平でございますが、申しのこしたことがございましたから、参上いたしました、お取次を頼みます」

取次の者はがたがた慄えながら源兵衛の傍へ往ってそれを取次いだ。

「夢でも見たのではないか、そんなことがあるものか」

「それでも、あ、あすこに立っております」

横山は不審に思いながら玄関の方へ出て見た。なる程浜田吉平が立っている。

「吉平殿か、何か云いたいことがあるなら、あがるがよかろう」