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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぎじんのすがた

日本の怪談

田中 貢太郎

Lesen Sie 日本の怪談 (ぎじんのすがた) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 56.030 Zeichen · 115 Bildschirme

Aozora Bunko

「来たのかい」

「お媽さんがいないのですよ、何処かへ往ったのでしょうかね」

新一は跳び起きて表座敷の方へ往った。母親の寝床があるばかりでその姿は見えなかった。

「便所へでもいらっしたのだろうか」

後から来た老婆が云った。

「そうかも判らない、お前、往って見てお出でよ」

老婆は困った顔をした。

「見てお出でって、坊ちゃん、こんな時には、うっかり出られませんよ」

「だって、お母さんがいないじゃないか」

「便所へでも往ってるか判りませんよ、もすこし待って見ましょう」

新一はもどかしくなって来た。

「そんなことを云って、お母さんがどうかなったらどうする、お前が厭ならおいらが往ってくる」

新一は行灯を持って其処の障子を開けて縁側へ出た。老婆もしかたなしにその後から踉いて往った。縁側の右の突きあたりが便所になっていた。新一は其処へ往った。

「お母さん、……お母さん」

中からは何の返事もなかった。新一は室の中へ入って今度は茶の間との境になった襖を開けた。茶の間には半裸体になった母親のお滝が、仰向けになってだらしなく寝ていた。

「お母さんだ」

「あら、お媽さん」

二人は驚いて叫んだ。