Japanische Klassiker mit Furigana
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ぎじんのすがた
日本の怪談
田中 貢太郎
Lesen Sie 日本の怪談 (ぎじんのすがた) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 56.030 Zeichen · 115 Bildschirme
三
ただ新一がへんに思ったのは、何か物を見詰めているような光のある眼の色をしていることであった。新一は昨夜の母の挙動を口に出して云うことができなかった。
飯が済むとお滝は表座敷へ入って往ったが、障子も襖もぴったり締めてしまって、外からはすこしも見えないようにして坐っていた。老婆と新一はいよいよ常事でないと思って心配しながら囁き合った。
「姨さん、お母さんはへんだね」
「そうでございますよ、どうもへんですよ、昨夜のことと云い、へんな男が襖を開けずに入って来たり、おかしいのですよ」
「何だろうね」
「どうも人間じゃないのですよ」
「なんだろう」
「そうねえ、しかし、たしかに人間じゃありませんよ、人間なら、襖を開けるなり、戸を開けるなりしますよ」
「お父さんが早く帰ってくれると、好いなあ」
「そうでございますよ、旦那様さえ早く帰ってくださるなら、どうかなるのでしょうが」
「そうだ、お父さんが帰ってくれると、好いなあ」
三
その後で老婆はお滝の体の工合を聞こうと思って室の中へ入った。室の中ではお滝が肘枕をして仮睡をしていた。老婆は吃驚させないように小さな声で云った。
「もし、もし、お媽さん」