Japanische Klassiker mit Furigana
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にほんのび
日本の美
中井 正一
Lesen Sie 日本の美 (にほんのび) von 中井 正一 (なかいまさかず) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 96.126 Zeichen · 187 Bildschirme
一〇 音楽
かく顧みながら、中宮寺の観音の簡単をきわめた髪の線、腕より掌、指にいたる目のさめるようなすらっとした光をごらんになるならば、日本にみなぎっている美の中の底にひそんでいる「軽み」がいかに深いものであるか、いかに高い調子のものであるかがわかると思うのであります。
かかる日本の美を貫いたものを、私たちは、この現代において見失わないようにこころがけたいと存ずるのであります。
一〇 音楽
昔々、藤原朝時代のことでありますが、ある男と女が夜の物語りをいたし、男が夜中にフト目をさまして、女に「今何時であろう」とたずねるのであります。女はやがて、枕元に置いてあった琵琶を手に取りまして、静かにいろいろの音階で、それを弾きはじめるのであります。
そして、「今何々の刻であります」。今でいえば「今ちょうど二時ごろです」とでも返事をするのです。
そこで男は「あ、そうか」といってまた寝るという話が書かれています。そのころは、いろいろの音階が、いろいろの時刻にあてられているのであります。真夜中の刻は、何の音階と思い込んでいたのであり、うし三つのころには、うし三つの頃の寂けさをきわめた調子があたっていたのでした。