Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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チチハルまで

日本プロレタリア文学集・20 「戦旗」「ナップ」作家集(七)

黒島 伝治

Lesen Sie 日本プロレタリア文学集・20 「戦旗」「ナップ」作家集(七) (チチハルまで) von 黒島 伝治 (くろしまでんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.175 Zeichen · 9 Bildschirme

Aozora Bunko

「何か用事ですか?」江原は不安げに反問した。

「何でもいい。そのまま来い!」

「どんな用事か、きかなきゃ分らないじゃないですか!」

「なにッ! 森口も浜田も来い!」

江原だけでなく五六人が手紙も読みさしで、しぶしぶ起って行った。かれらは一列になって出て行った。あとに残った和田達は、無言でお互に顔を見合わしていた。

江原達はそのまま帰ってこなかった。

翌日未明に、軍隊は北進命令を受けた。

二十六時間の激戦や進軍の後、和田達は、チチハルにまで進んだ。煮え湯をあびせられた蟻のように支那兵は到るところに群をなして倒れていた。大砲や銃は遺棄され、脚を撃たれた馬はわめいていた。和田はその中にロシア兵がいるかと思って気をはりつめていた。ロシア人や、ロシアの銃や、ロシアの大砲はしかし、どこにも発見することが出来なかった。和田はだんだん何だかアテがはずれたようなポカンとした気持になって行った。