Japanische Klassiker mit Furigana
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チチハルまで
日本プロレタリア文学集・20 「戦旗」「ナップ」作家集(七)
黒島 伝治
Lesen Sie 日本プロレタリア文学集・20 「戦旗」「ナップ」作家集(七) (チチハルまで) von 黒島 伝治 (くろしまでんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.175 Zeichen · 9 Bildschirme
防備隊
九月二十五日――撫順
今度の事変で、君は、俺の一家がどうなったか、早速手紙を呉れた。今日、拝見した。――心配はご無用だ。別条ない。
俺は、防備隊に引っぱり出された。俺だけじゃない。中学三年の一郎までが引っぱり出された。
乳くさい中学生が、列車からおりてくる支那人に、遊底をガチッ! と鳴らして銃をかまえるのだ。
「大人! 大人!」
支那人は、中学生に向ってさえビクビクしている。
「止まれ!」
生徒は、いかめしげに叫ぶ。
「…………。」
「こらッ! 通行票を出せッ!」
日本人の威張り方は傍若無人だ。この春、三月、君は奉天に来たね。奉天城内の四平街と云えば目抜きの場所だ。君覚えているだろう? 平生は、人間や洋車や馬車が雑沓しているところだ。三階、四階の青や朱で彩色した高楼が並んでいる。それが今はすっかり扉を閉め切って猫の仔一匹いない。一昨日そこへ行ってみた。どの家にも変な日本人が立ち番している。オヤオヤ! と思っていると、どこからか俺に声をかける奴がある。見ると撫順にいたことのあるバクチ打ちの満洲ルンペンじやないか!
「何をやっているんだね? こんなところで?」