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Japanische Klassiker mit Furigana

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しゅんせつせん

日本プロレタリア文学集・8 葉山嘉樹集

葉山 嘉樹

Lesen Sie 日本プロレタリア文学集・8 葉山嘉樹集 (しゅんせつせん) von 葉山 嘉樹 (はやまよしき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 34.935 Zeichen · 73 Bildschirme

Aozora Bunko

本田家は、それが大正年間の邸宅であろうとは思われないほどな、豪壮な建物とそれを繞る大庭園と、塀とで隠して静に眠っているように見えた。

邸宅の後ろは常磐木の密林へ塀一つで、庭の続きになっていた。前は、秋になると、大倉庫五棟に入り切れないほどの、小作米になる青田に向っていた。

邸後の森からは、小川が一度邸内の泉水を潜って、前の田へと灑がれていた。

消防組の赤い半纒を着た人たちや、青年会の連中が邸内のあちこちに眠そうな手で蚊を叩いていた。

本田家の当主は、家族の者と主治医とに守られて、陶製のもののように、何も考えることも感じることも出来なくなった頭を、氷枕と氷嚢との間に挟んでいた。

家族の人たち、当主の妻と、その子供である、二人の息子と三人の娘とは、何かを待つような気持を、どうしても追っ払うことが出来なかった。

当主は、寝ている処を、いきなり丸太ん棒、それも樫の木の、潜り門用の閂でドサッとやられたので、遺言を書こうにも書くまいにも、眼の覚める暇がなかったのであった。

で、家族のものは、泣きながら食卓の前に坐らされている、腹の空いた子供のような気持を、抱かない訳には行かなかった。