Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅんせつせん
日本プロレタリア文学集・8 葉山嘉樹集
葉山 嘉樹
Lesen Sie 日本プロレタリア文学集・8 葉山嘉樹集 (しゅんせつせん) von 葉山 嘉樹 (はやまよしき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 34.935 Zeichen · 73 Bildschirme
憤って許りいるような光でもなかった。涙を溜めてもいなかった。だが、俺を一度でおどかしやがった。フン、俺も大分焼が廻ったな。あんな小僧っ子の事で、何だ、グズグズ気をとられてるなんて、他事じゃねえや、こちとらの事だ。間誤ついてると、細く短くなっちゃうぞ)
汽車が、速度をゆるめた。彼は、眠った風をして、プラットフォームに眼を配った。プラットフォームは、彼を再び絶望に近い恐愕に投げ込んだ。
白い制服、又は私服の警官が四五十人もそこに網を張っていた。
汽車はピタッと止った。
だるい、ものうい、眠い、真夜中のうだるような暑さの中に、それと似てもつかない渦巻が起った。警官が、十数輛の列車に、一時に飛び込んで来た。
彼は全身に悪寒を覚えた。
(畜生! 大袈裟に来やがったな。よし、こうなりゃやけくそだ)
恐愕の悪寒が、激怒の緊張に変った。匕首が彼の懐で蛇のように鎌首を擡げた。が、彼の姿は、すっかり眠りほうけているように見えた。
制服、私服の警官隊が四人、前後からドカドカッと入って来た。便所の扉を開いた。洗面所を覗いた。が、そこには誰も居なかった。
「この車にゃ居ない!」