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Japanische Klassiker mit Furigana

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しゅんせつせん

日本プロレタリア文学集・8 葉山嘉樹集

葉山 嘉樹

Lesen Sie 日本プロレタリア文学集・8 葉山嘉樹集 (しゅんせつせん) von 葉山 嘉樹 (はやまよしき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 34.935 Zeichen · 73 Bildschirme

Aozora Bunko

だが、汗は出たが、いい考えが浮く筈がなかった。

「明日でもいいでしょう、と云ったんだが、どうしても直ぐにって署長の命令だからね、済まないが、直ぐに来て貰いたいんだ。直ぐに帰すからね」

中村は、こう云うと、又煽ぎ立てた。

(へ、すぐに帰す! 極り文句を云ってやがらあ)

「何しろ夜中じゃしようがないよ。子供を手離せないもんだからな。嬶が病院に行ってるから、一人は俺が見てやらなけゃ、ならないんだよ。まあ、朝まで待って呉れよ」

子供は、吉田と中村との話を、鋭く聞いていた。そして、自分が生れると直ぐの年から、母親の背に縛りつけられて、毎年、警察や、裁判所や、監獄の門を潜ったことを思い出した。

「父ちゃん、いやだよ。行っちゃいやだよう」

泣き声と一緒に、訴えるような声で叫んで、その小さな手は、吉田の頸に喰い込むように力強くからまった。

人生の、あらゆる不幸、あらゆる悲惨に対して殆んど免疫になってはいた吉田であった。不幸や悲惨の前に無力に首をうなだれる吉田ではなかった。どんな困難な境遇に立っても客観的な立場を守って、的確な判断と作戦とを誤らなかった彼ではあった。彼の心の中にどっしりと腰を下して、彼に明確な針路を示したものは、社会主義の理論と、信念とであった。