Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Lesen Sie 日本婦道記 (にほんふどうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.841 Zeichen · 25 Bildschirme
「金子はいま出してあげます、けれど今のはなしを忘れないようにね、今のうちならまだ嫁といっても名ばかりなのだから、あなたはなにもかも父上やわたくしに任せた気持でいればよいのだからね」
「……はい」
由紀はふかくうなだれたまま辛うじてそう頷いた。……母が立ったとき、由紀もいっしょに立って仏間へいった。彼岸にはいったので仏壇には燈明がともり香がいてあった。彼女は香をあげて坐り、合掌しながら厨子の中の仏像を見あげた。それは天平時代の作だといわれる五寸あまりの金銅の釈迦像で、この家に旧くから伝わり代だい主婦の持仏になっている。燈明の光は厨子の中へはよくとどかないので、その像はいかにも神秘と荘厳を表象するもののように見える、由紀は幼ない頃よくその仏像にねがいごとをしたものだった。美しい衣装が欲しいとか、古くなった雛を新らしいものに代えて貰いたいとか、仲のわるい友達と道で会わずに済むようにとか、……そしていま彼女は自分がなにを祈ろうとしているかを思いかえし、過ぎ去った日の無邪気な憂いも悲しみも知らなかった自分と、現在の自分との違いの大きさに心ふさがり、まるで呻くかのように溜息をもらした。