Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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にほんふどうき

日本婦道記

山本 周五郎

Lesen Sie 日本婦道記 (にほんふどうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.409 Zeichen · 23 Bildschirme

Aozora Bunko

近寄ってなにをしているかとたずねると、ひとりが手に持っていた笄をさしだして、「このような品が壕のなかに落ちていましたので」とふしんそうに云った。

「そのもとたちの持場だ、笄が落ちているのにふしぎはあるまい」

「なみなみの品なればふしんはござりませぬが、これはわたくしどもの用うるものではござりませぬ」

「そればかりではなく」とそばにいたひとりが云った。

「わたくしそのお笄には見おぼえがござります、わたくしは数年まえまで奥へあがっておりました、そのおりたしかに見おぼえております、それはおかた様が日常お用いなされる品でございました」

「これが、この笄が、おかた様の……」

靱負之助は婦人の手から笄をうけ取った、或ることがふとかれの頭にひらめいた。

「いずれにもせよ」とかれは笄を懐紙に包みながら云った、「かような品の詮議をするいとまはない、領民たちにおくれをとらぬよう、一日も早く壕を掘りあげなければならぬ、しっかりたのむぞ」

やはりおかた様だ、おかた様がおしのびで、自分たちと一緒に壕を掘っていらっしゃったのだ。婦人たちがそう囁き合うこえを聞きながら、靱負之助はそのあしで本丸へあがった。