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Japanische Klassiker mit Furigana

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にほんふどうき

日本婦道記

山本 周五郎

Lesen Sie 日本婦道記 (にほんふどうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.409 Zeichen · 23 Bildschirme

Aozora Bunko

たたかいは城の備えでもなく武器でもなく、精鋭の兵だけではない、領内のすべての者がひとつになってたちあがる心にあるのだと」

「そしてその心をひとつにまとめたものは」

靱負之助はふところから懐紙に包んだものをとりだして云った。

「この一本の笄でござりました」

「…………」

「家臣の女どものなかに身をしのばせて、その労苦をともにあそばしたおかた様の、ひとすじのお心がもとでござりました」

「それはもう云わぬ筈ではないか」

「申しませぬ、わたくしの口からは申しませぬ、けれど……あれ以来たれ云うとなく、あのときの壕を笄堀とよんでおるのを御存じでござりますか」

「こうがいぼり、それは」

真名女はかぶりをふりながら云った。

「それはあの壕を女だけの手で掘ったゆえ申すのであろう、城壕にはめずらしい、やさしい名がつきましたこと、あの者たちのこのうえもない記念になることでしょう」

そう云いながら真名女が床几から立ちあがったとき、本丸前の広場から、にわかに人のどよめきの声が聞えてきた。靱負之助が立っていった、すると城をたち退いてゆく民たちであろう、老若男女の夥しい人数がこの櫓を見あげ、しきりになにか叫んでいるのだった。