Japanische Klassiker mit Furigana
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にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Lesen Sie 日本婦道記 (にほんふどうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.885 Zeichen · 27 Bildschirme
「あなたは太田助七郎どのにいらっしゃるあきつさんという方ではございませんか」
「……はい」あきつは老婦人を見た、「わたくしあきつでございますが」
「そうだと思いました」婦人は微笑しながら頷ずいた、
「……あなたに少しお話がありましてね、家まで来て頂きたいのだけれど、いまお使いのお帰りですか」
「はい、これから帰りませんければ」
「ではこう致しましょう、お帰りになったらお家へはよいように仰しゃって、ちょっとの間でよろしいから家まで来て下さい、内ないでお話し申したいことがありますから」
「……あなたさまは」とあきつは買物の包を抱き緊めた、「どなたさまでいらっしゃいますか」
「吉村大三郎の母です」老婦人はしずかに見かえしながら云った、「……ではお待ちしていますよ」
そして返辞は待たずに去っていった。
そうだ、吉村さまのお母上だった、時どきお見かけして覚えのある筈だのに、そう思ってうしろ姿を見送ったあきつは、やがて愕然と蒼くなった、――待っていますよ、そう云った老婦人の声が、まるでなにか突き刺されでもしたようにするどく、まざまざと耳の奥によみがえってきたのだ、あきつは心もそらに長屋へ帰った、……太田の家にはまだ幼ない児女が三人いる、みんなあきつによく懐いて、家にいると三人ともそばから離れない、今も帰って来たあきつを見ると、かれ