Japanische Klassiker mit Furigana
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にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Lesen Sie 日本婦道記 (にほんふどうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.885 Zeichen · 27 Bildschirme
三
「わたしだってそれはそう存じますわ、ただあの方はそのほかにも女ぎらいだなんて噂もありましたでしょう、それで思いがけなかっただけですわ、おめでとうあきつさま」
「ありがとう」あきつはおろおろした声で辛くもそう答えた、「でもどうぞ内証にね、うちあけて申上げると、大三郎さまがそうお約束して下さっただけで、まだ表向きにはなっていないのですから、ほんとうにお二人だけの内証にして下さいましね」
ええ大丈夫、決してひとには云わない、そういう二人の誓いを聞きながら、あきつはなおからだが震えるのを止めかねていた。
三
吉村大三郎の名をあげたのは苦しまぎれだったが、それでもあきつとしては僅かに選択がなくはなかった。大三郎はやはり「御手の者」に属し、二十七歳で本陣さきて組の足軽小がしらを勤めている。酒飲みで酔うと暴れだし、平生でも傍若無人のおこないが多い、戦場での闘いぶりもめざましく、相貌もぬきんでていながら二十七という年まで独り身でいるのは、そういう性質が娘の親たちを躊躇わすからであろう、かれ自身もまた昂然と、女はきらいだと云い切って、たとえ親たちの勧める縁談があっても、耳も藉さずに押し通して来た。