Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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にちぼつのげんえい

日没の幻影

小川 未明

Lesen Sie 日没の幻影 (にちぼつのげんえい) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.424 Zeichen · 14 Bildschirme

Aozora Bunko

空を飛ぶ鳥も、稀に小さな黒い影をこの沙原に落すことがあっても何等の音もしない。ああ、この白い花、硫黄に晒されて、すべての色の死んでしまった後の白い抜殻のようだ。ああ、この紅い花、私は、鶏の肝臓を切った時に出る血の色を思うような赤い色をしている。或時は、全く是等の草花も咲いていない、沙原ばかりを歩いて来た。

第二の見慣れぬ旅人 私もやはり、そうであった。而して、遥かに黒い物を見た時は、それが何んであるか分らなかった。日の光りが弱って、沙原の上を黄色く染めていた。ちょうど熱病を患った時、セメンを飲んで、天地が黄色く見えるその時のように、悩ましげに見えた。その弱い日の光りの中に黒い物を認めた時、最初私は木立であるかと思った。

第三の見慣れぬ旅人 木立……あの、夢のように立っている黒い杉の木か……いや杉の木か何んだか分らない。まあ杉の木のように、もっと葉の軟かなような、色の緑色の箒を立てたように鬱然とした、而して日の弱い光りを浴びて蝋のような、燐の燃えるような、或時は尼が立っているとも見え、或時は、人が立って黙想に耽っているとも思われ、或時は、薄気味悪い杉の木の立っているようにも思われた……(第二の旅人の顔を覗く。