Japanische Klassiker mit Furigana
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きゅうしゅじん
旧主人・芽生
島崎 藤村
Lesen Sie 旧主人・芽生 (きゅうしゅじん) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.813 Zeichen · 302 Bildschirme
彼女は学士が植えて楽む種々な朝顔の変り種の名前などまでもよく暗記んじていた。
「高瀬さんに一つ、私の大事な朝顔を見て頂きましょうか」
と学士が言って、数ある素焼の鉢の中から短く仕立てた「手長」を取出した。学士はそれを庭に向いた縁側のところへ持って行った。鉢を中にして、高瀬に腰掛けさせ、自分でも腰掛けた。
奥さんは子供衆の方にまで気を配りながら、
「これ、繁、塾の先生が被入しったに御辞儀しないか――勇、お前はまた何だッてそんなところに立っているんだねえ――真実に、高瀬さん、私も年を取りましたら、気ぜわしくなって困りますよ――」
奥さんの小言の飛沫は年長のお嬢さんにまで飛んで行った。お嬢さんは初々しい頬を紅めて、客や父親のところへ茶を運んで来た。
この子供衆の多勢ゴチャゴチャ居る中で、学士が一服やりながら朝顔鉢を眺めた時は、何もかも忘れているかのようであった。
「今咲いてますのは、ホンの丸咲か、牡丹種ぐらいなものです」と学士は高瀬に言った。「真実の獅子や手長と成ったら、どうしても後れますネ。そのうちに一つ塾の先生方を御呼び申したい……何がなくとも皆さんに集って頂いて、これで一杯進げられるようだと可いんですけれど……」