Japanische Klassiker mit Furigana
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きゅうしゅじん
旧主人・芽生
島崎 藤村
Lesen Sie 旧主人・芽生 (きゅうしゅじん) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.813 Zeichen · 302 Bildschirme
翌朝高瀬は塾へ出ようとして、例のように鉄道の踏切のところへ出た。線路を渡って行く塾の生徒などもあった。丁度そこで与良町の方からやって来る子安に逢った。毎時言い合せたように皆なの落合うところだ。高瀬は子安を待合せて、一諸に塾の方へ歩いた。
線路側の柵について先へ歩いて行く広岡学士の後姿も見えた。
「広岡先生が行くナ」と高瀬が言った。
子安も歩き歩き、「なんでもあの先生が上田から通って被入っしゃる時分には、大変お酒に酔って、往来の雪の中に転がっていたことがあるなんて――そんな話ですネ」
「私も聞きました」
「どうして広岡先生のような人がこんな地方へ入り込んで来たものでしょう」
「それは、君、誰も知らない――」
塾の門前に近いところで、二人は学士に追い附いた。
朝顔の話はそこでも学士の口から出た。
「高瀬さん、今朝も咲きましたよ」
「どうも先生の朝顔はむずかしくッて、私にはまだよく解りません」と高瀬は笑いながら言った。
「町の方でポツポツ見に来て下さる方もあります……好きな人もあるんですネ……しかし私はまだ、この土地にはホントに御馴染が薄い……」
学士は半ば独語のように言った。