Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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きゅうしゅじん

旧主人・芽生

島崎 藤村

Lesen Sie 旧主人・芽生 (きゅうしゅじん) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.813 Zeichen · 302 Bildschirme

Aozora Bunko

炭素がその玻璃板の間から流れると、蝋燭の火は水を注ぎ掛けられたように消えた。

高瀬は戸口に立って眺めていた。

無邪気な学生等は学士の机の周囲に集って、口を開くやら眼を円くするやらした。学士がそのコップの中へ鳥か鼠を入れると直ぐに死ぬという話をすると、それを聞いた生徒の一人がすっくと起立った。

「先生、虫じゃいけませんか」

「ええ、虫は鳥などのように酸素を欲しがりませんからナ」

問を掛けた生徒は、つと教室を離れて、窓の外の桃の樹の側に姿を顕した。

「ア、虫を取りに行った」

と窓の方を見る生徒もある。庭に出た青年は桜の枝の蔭を尋ね廻っていたが、間もなく戻って来て、捕えたものを学士に勧めた。

「蜂ですか」と学士は気味悪そうに言った。

「怒ってる――螫すぞ螫すぞ」

と口々に言い騒いでいる生徒の前で、学士は身を反らして、螫されまいとする様子をした。蜂はコップの中へ押し入れられた。それを見た生徒等は意味もなく笑った。「死んだ、死んだ」と言うものもあれば、「弱い奴」と言うものも有った。蜂は真理を証するかのように、コップの中でグルグル廻って、身を悶えて、死んだ。

「最早マイりましたかネ」