Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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きゅうしゅじん

旧主人・芽生

島崎 藤村

Lesen Sie 旧主人・芽生 (きゅうしゅじん) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.813 Zeichen · 302 Bildschirme

Aozora Bunko

「私(わし)は登記役場に出てから、三年目になりやすよ。馬流(まながし)の正公(しょうこう)は私よりか前に奉職して、それで私と給料が同じだもんだで、大層口惜しがってね。此頃(こないだ)も、馬流へ行った時、正公のところへ寄って、正公ちったあ上げて貰いやしたかね、と聞いたら、弱ったよ、今月は五十銭も上るかと思ったに、この模様ではお流れだ、と言って嘆(こぼ)していやした」

「どうでごわしょう、先生、その女も足の骨を折られた位で……」

「しかし、人間は信用がなくちゃ駄目だね。私なんかのように貧乏人で、能の無い者でも、難有(ありがた)いことには皆さんが贔顧(ひいき)にしてくれてね。此頃(こないだ)も斎藤書記官に逢いやした時、お前(めえ)は今いくら取る、と言いやすから、九円になりやしたと言うと、九円? 九円も取るか、と大層喜んでくれやして、九円取れればいいだろう、と言いやすのさ。そりゃ私独(ひと)りなら楽ですけれど、家内が大勢でなかなかやりきれやせん、と言いやしたら、よしよしその中に又た乃公(おれ)が骨を折って上るようにしてやる、と言ってくれやした」

「どうでごわしょう、先生、その女も……」