Japanische Klassiker mit Furigana
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きゅうしゅじん
旧主人・芽生
島崎 藤村
Lesen Sie 旧主人・芽生 (きゅうしゅじん) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.813 Zeichen · 302 Bildschirme
やがて三人の子供は枕を並べて眠った。急に家の内はシンカンとして来た。家内なぞは、子供の眠っている間が僅かに極楽だと言い言いしている。
「一号、二号、三号……」
この自分から言出した串談(じょうだん)には、私は笑えなくなった。三人の子供ですらこの通り私の家では持余している。今からこんなに生れて、このうえ出来たらどうしようと思った。私の母は八人子供を産んでいる。家内の方にはまた兄妹(きょうだい)が十人あった。その総領の姉は今五人子持で、次の姉は六人子持だ。何方(どちら)を向いても、子供の多い系統から来ている。
翌日、私は学校の方へ形式ばかりの辞表を出した。その日から私の家ではそろそろ引越の仕度に取掛った。よく大久保の噂(うわさ)が出た。雨でも降れば壁が乾くまいとか、天気に成れば何程(どれほど)工事が進んだろうとか、毎日言い合った。私達の心の内には、新規に家の形が出来て、それが日に日に住まわれるように成って行くような気がした。
二週間ばかり経ったところで、大久保の植木屋から手紙を受取った。見ると、月の末まで待たなければならなかった。こうなると一度纏(まと)めた道具のうちを復た解(ほど)く必要がある位で、ある荷物は会社に依頼して先へ送り出した。