Japanische Klassiker mit Furigana
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わせだだいがく
早稲田大学
尾崎 士郎
Lesen Sie 早稲田大学 (わせだだいがく) von 尾崎 士郎 (おざきしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 112.204 Zeichen · 220 Bildschirme
3
雨風にさらされた木理のあらい手ざわりが彼の心に別離の感傷をよび起したのである。維新の頃にこの家を宿房として潜んでいた高杉晋作が、捕吏にかこまれて逃げるに道もなく、頬かむりをしてそのとき宴に侍った雛妓のなにがしという少女を肩車にのせながら悠々たる嫖客の気構えで落ちていったのもこの門である。
忍ぶこの身の手拭とりて月に着せたや頬かむり、
という晋作のつくった都々逸もおそらく当時の心境を托したものであろう。――来島は酔えば必ず唄う習慣のついた都々逸の文句をどよめきかえす別離の感情の中に思いうかべたのである。
3
安場の宴席をいいかげんに切上げて、杉山が下名島町の吉見屋へ俥を走らせたときにはもう十一時を過ぎていた。彼はいくら飲んでも酔いきれない気もちを持てあましながら来島のことを考え続けていたのである。おさえることのできないもの、防ぐことのできないものが杉山の心の中でだんだんかたちを整えてくる。――十余年前、頭山のいる芝口の宿屋で会ったのが最初であった。無口な恒喜はその頃からむっつりとして時を過す日が多く、火鉢をかこむ同志を前にして杉山があふれるような快弁を弄しているときでも来島だけはひとりはなれて縁側にながながと寝そべっていた。