Japanische Klassiker mit Furigana
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わせだだいがく
早稲田大学
尾崎 士郎
Lesen Sie 早稲田大学 (わせだだいがく) von 尾崎 士郎 (おざきしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 112.204 Zeichen · 220 Bildschirme
彼の眼に深く垂れた幌だけが見えた。あっ、と思ったとたん、――たちまち大地が崩れるような音がした。片手でおさえた石垣がぐらぐらっと動いたような気がして、無意識のうちに慌てて椎の幹に両手でよりすがったときには、あたりは砲煙のような白い煙にとざされて眼をひらくこともできなかった。馬車に乗っていたのは大隈重信で、彼は数分前、閣議を終えて内閣を退出し、一気に馬車を走らせて桜田門をぬけ、近衛旧教導団の前を通り、霞ヶ関の官邸に帰ろうとして馬首を外務省正門に向けようとしたとき、モーニングに山高帽の男が前屈みになり、お辞儀をするような身体つきをして石垣のかげからのっそり出てきたのである。間一髪であった。馭者は夢中になって鞭をくれたので、音響におどろいた馬はとび跳ねるようにして門内ふかく駈け入った。来島はたしかに効を奏したと思ったらしい。右のポケットにおさめた左文字の短刀を抜こうとしたとき、門の中から五、六人の警吏がとびだしてきた。いずれも慌てふためいているらしく、落ちつき払って立っている来島を見ると、
「犯人は?」と、気を失った顫え声で問いかけた。「犯人はどっちへ逃げたか?」