Japanische Klassiker mit Furigana
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あかるいかいひん
明るい海浜
宮本 百合子
Lesen Sie 明るい海浜 (あかるいかいひん) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.608 Zeichen · 16 Bildschirme
陽子は、新らしい机の前にかけて見た。正面に夜の硝子窓があった。その面に、電燈と机の上のプリムラの花が小さくはっきり映っている。非常に新鮮な感じであった。夜気はこまやかに森として、遠くごく遠く波の音もする。夜、波の音は何故あのように闇にこもるように響くのだろう。耳を澄ましていると、
「御免下さい」
婆さんが襖をあけた。
「何にもありませんですがお仕度が出来ました、持って上ってようございますか」
陽子は気をとられていたので、いきなりぼんやりした。
「え?」
「御飯に致しましょうか」
「ああ。どうぞ」
婆さんは引かえして何か持って来た。相当空腹であったが、陽子は何だか婆さんが食事を運んで来る、それを見ておられなかった。一人ぼっちで、食事の時もその部屋を出られず、貧弱そうな食物を運んで貰う――異様に生活の縮小した感じで、陽子は落付きを失った。
「ここへ置きますから、どうぞ上って下さい」
「ええ、ありがと」
婆さんが出てから振返って見ると、朱塗りの丸盆の上に椀と飯茶碗と香物がのせられ、箱火鉢の傍の畳に直に置いてあった。陽子は立って行って盆を木箱の上にのせた。上り端の四畳の彼方に三畳の小間がある。