Japanische Klassiker mit Furigana
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めいじげきだん ランプのもとにて
明治劇談 ランプの下にて
岡本 綺堂
Lesen Sie 明治劇談 ランプの下にて (めいじげきだん ランプのもとにて) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 167.283 Zeichen · 329 Bildschirme
「あれは守田さ。」
「守田……。勘弥ですか。」
「むむ。今度からここの相談役になったそうだ。あの男もひどく年をとったな。」
父は暗い顔をしていた。わたしも何だか寂しいような心持になった。わたしが初めて守田勘弥という人を観たときのことは、前に書いた。少年時代に逢ったきりであるから、わたしはもうその人の顔かたちを見忘れていたが、父からその名を教えられて、古い記憶が今更のように甦えって来た。その当時のハイカラであった守田勘弥も今は老いた。単に老いたというばかりでなく、かれが多年苦心経営していた新富座もすでに彼の手をはなれて、事実においてはもう滅亡したも同様の姿になってしまった。勿論、一々詮議立てをしたら、彼にもいろいろの欠点があろうが、ともかくも明治以来衰微にかたむいた我が劇界を腕一本で支えて、殆んど背負い切れないほどの負債を荷いながら、劇の向上進歩に専心努力した彼の功績は、明治の演劇史に特筆大書せらるべきものである。その功績と伎倆を認めたればこそ、歌舞伎座でも今度かれを招聘することになったのであろうが、ある意味においては自分の敵ともいうべき歌舞伎座の招きに応じたのは、敵の軍門に降伏したような形にも見える。