Japanische Klassiker mit Furigana
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めいじげきだん ランプのもとにて
明治劇談 ランプの下にて
岡本 綺堂
Lesen Sie 明治劇談 ランプの下にて (めいじげきだん ランプのもとにて) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 167.283 Zeichen · 329 Bildschirme
それについて、父はこう説明していた。
「守田も七、八十万円の借金で、とても手も足も出ないので、よんどころなしにここへはいり込んだのらしい。なにかいい機会を見つければ、もう一度旗揚げをするつもりらしいよ。」
梅林の二階で、かれは父に向かってそんな話をしたのであろう。かれが守田勘弥であることを記憶していたら、わたしも一緒に引返してその話を傍聴したものをと、今更に悔まれた。面白くもない序幕のだんまりなどを見物するよりも、その方がどんなに面白くもあり、また有益であったか知れないと思った。
その日を最後として、わたしは永久に守田勘弥という人に逢う機会をうしなった。敵の本城を一時の隠れ家として、おもむろに風雲をうかがっていた彼は、その後小さい一座を作って、川越あたりの近県を巡業していることが新聞紙上に一、二度報道されたように記憶しているが、翌三十年の八月には、すでにその訃を伝えられた。かれは八月二十一日、赤坂仲の町の自宅で死んだということであった。
この明治三十年には、勘弥以外に二人の惜しい俳優をうしなった。一人はわたしがしばしば語った市川新蔵で、他は尾上菊之助である。