Japanische Klassiker mit Furigana
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めいじげきだん ランプのもとにて
明治劇談 ランプの下にて
岡本 綺堂
Lesen Sie 明治劇談 ランプの下にて (めいじげきだん ランプのもとにて) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 167.283 Zeichen · 329 Bildschirme
それでもどうにか詫びがかなって、もとの尾上家に復籍して、明治二十四年の春から再び東京の舞台を踏むことになった。それは歌舞伎座の正月興行で、かれは帰り新参のお目見得として、「鞍馬山」のだんまりに牛若丸をつとめ、養父菊五郎が木の葉天狗実は天明太郎に扮した。かれはそのほかに中幕の「信仰記」で狩野之助をつとめていたが、例の調子は依然として直らないので、その人気はあまり華やかではなかった。
かれは帰京と同時に、松幸の名をなげうって元の菊之助にかえった。又聴きであるから、わたしも詳しいことを知らないが、かれは松幸という名のほかに、もう一つなげうたなければならないものがあった。前にも言った通り、菊之助が養父の勘気をうけたのは或る女のためである。その女はかれと一緒に京大阪を流浪して、艱難のあいだを同棲していたのであるが、今度帰参の問題が起こると共にまず困るのはその女の処置であった。それが養家を逐われた原因であるから、依然その女と同棲しているというのでは、帰参の取りなしをする人たちも進んで口を利きにくいような事情もあった。女はそれを察して、自分の方から身をひくと言い出した。